唇は顔のパーツの中でも人の視線が集中しやすいところです。
切れてしまうと、何よりも痛いのです。食事のときも話すときも痛くて、血が出ないかも気になって鏡を見る回数も増えてしまいます。1日も早く元の唇に治るように、役立つ情報を紹介していきます。
なぜ唇が切れてしまったのか
歯医者の治療時のミス
虫歯や歯列矯正、歯のお掃除などで歯医者を受診した後、気付くと口の端の部分が切れていたということは老若男女問わずよくあります。歯科医が患者の口の中を治療しているとき、助手が患者の口が大きく開いたままになるように手を添えることがあります。
そのときの押さえの手が強すぎて、切れてしまうことがあります。歯科医が治療中に器具が当たることでも起こります。口まわりの皮膚は薄いので、ちょっとした刺激で口の端の部分は傷つきやすいのです。歯科医では口を開けたまま同じ姿勢で、同じ作業をしている時間が長いので、気付いてもらえないと傷はひどくなってしまいます。
痛いな、と感じた時点で我慢せず、すぐに手を挙げて指で示すなど、口の端を傷つけていることを気付いてもらうようにしましょう。
乾燥によるもの
唇が切れる原因で最も多いのが、乾燥によるものです。唇は黙って口を閉じているとき以外は動いている箇所なので、水分が不足してガサガサに乾燥するとちょっとしたことで切れてしまいます。
乾燥が原因で唇が切れると治りかけてたときに潤いが足りていないと、また同じところが切れてしまいなかなか治りません。また、唇が乾燥していると大きな口を開けたときに口の端が切れやすくなります。
歯医者に行って、歯科医や助手が何かしたわけではなく、ただ長い間口を大きくあけていたために口の端が切れてしまうこともよくあります。これは乾燥が原因のことが多いです。リンゴを丸かじりしようと大きな口を開けて、ピリッと切れてしまうこともあります。唇の乾燥は放っておいてもなかなか治るものではなく、むしろ乾燥が悪化してしまうことも多々あります。
事故など外傷によるもの
唇は身体のように衣服で保護されているわけではないので、外傷を受けやすいのです。歩き始めたばかりの幼児が転倒すると、唇を切ってしまう事故が多いのもこのためです。
また、急な衝撃を受けたときに自分の歯でかんでしまい、唇を切ってしまうことも少なくありません。この場合は傷も大きくなりやすく、見た目だけでなく細菌が入り込むことによる化膿も心配です。
胃腸のトラブルによる「口角炎」
唇が切れた!というと、実際には口の端の部分が切れていることが多いことは先に説明しました。口の端部分が切れてしまう症状を、「口角炎」ともいいますが、これは胃腸のトラブルに起因すると考えられています。
乾燥しているわけでもなく、歯医者に行ったということもないのに頻繁に口の端が切れてしまう人は、胃腸の健康状態を気にかけた方がいいでしょう。これは東洋医学の考え方で、胃の調子が悪いときは口に症状が出やすいとされています。
特にビタミン不足や脂肪過多によって、口角炎になりやすいと言われています。唇が切れるのは弱った胃がストップをかけているから、という古くからの言い伝えもあります。野菜やフルーツは毎日採れていますか?スナック菓子やカップラーメンを食事の代わりにしてしまっていませんか?身体の健康の基本は、バランスの取れた食生活です。生活習慣を見直してみる必要があるかもしれません。
カンジダ感染症
口角炎になる原因として一番多いのが、カンジダ菌と呼ばれる真菌による感染症です。カンジダ菌はもともと体の中に存在している常在菌で、健康な時は発症することはないのですが、ストレスや体調不良で免疫が低下したときに発症することがあります。白い苔のようなものがついていれば、カンジダが原因の可能性が高くなります。
化粧品が合わないと言った肌トラブル
顔の皮膚は薄いので、化粧品によるかぶれで乾燥して粉をふいてしまったり、皮が向けてしまったりというトラブルは多いのです。
肌は丈夫で化粧品トラブルとは無縁と自負する人でも、年齢を重ねるにつれ肌は敏感になります。今まで問題なく使っていた化粧品で、突然アレルギーを発症することもあります。唇が切れてしまうときは、使用している口紅に原因があることもあります。
自分で確かめられる簡単な方法は、最も刺激物が少ないリップクリームだけにして一日過ごしてみることです。口紅を使わないときには乾燥やかゆみが治まるようであれば、化粧品のアレルギーを起こしている可能性があります
ヘルペスが原因のことも。。
口角炎だと思っていて、一向に症状が良くならない場合、口唇ヘルペスの可能性があります。口角炎と口唇ヘルペスは症状が似ているため、見分けがつかないことがあるのです。唇が切れて痛いと思った時、どのように見分ければ良いのでしょうか?
口唇ヘルペスの症状
口角炎も口唇ヘルペスも痛みを伴います。しかし、口唇ヘルペスの場合は、赤い水疱ができるのが特徴で、熱を伴いピリピリとした痛みが出ます。できた水疱がつぶれるとかさぶたになります。痛みだけでなく熱を伴った水疱ができていたら、口唇ヘルペスを疑ったほうがよいでしょう。
口唇ヘルペスの原因
口唇ヘルペスの場合、原因はヘルペスウイルスと呼ばれるウイルスのよって引き起こされます。ヘルペスウイルスは一度感染すると体内にずっと残ります。体調を崩したり、免疫が下がったときなどに再発することが多いのです。
口唇ヘルペスの治療法
口唇ヘルペスになったら、皮膚科を受診するようにしましょう。口唇ヘルペスの治療は、軟膏やクリームなどを使用しますが、症状がひどい場合は抗ウイルス薬や点滴などが使われることもあります。
唇が切れて痛いとき早く治す方法
歯科医院の受診が原因のとき
歯科医院で治療時に、歯科医や助手に誤って傷付けられてしまったときは、迷わずその歯科医院に相談しましょう。口を大きく開けなければ診察ができないため、口角が切れてしまうトラブルは歯医者ではよくあることです。
対処法にも慣れているはずなので、早くきれいに治したいと伝えれば症状に応じた軟膏や痛み止めなどを処方してくれます。また、明らかに処置に原因があるときは傷の診察代や薬代の費用は請求されないこともあります。口角が切れると治りにくいので、自然に治るのを待つよりも薬で治した方が早いのです。
乾燥が原因の唇のトラブルにはワセリン
唇が切れて出血してしまうほど乾燥が進んでいる場合は、市販のリップクリームでは治せません。
保湿力が高く、口に入ってしまっても安全なワセリンを使用しましょう。ワセリンは赤ちゃんにも処方されるほど無害な物質です。肌や粘膜に吸収されないため、体内に入っても腸を通過してそのまま自然排出されていきます。唇にも吸収されずに表面に膜を張って、保護し続けてくれます。
一点注意することは、ワセリンを指で唇に塗る際、清潔な手で行うことです。ワセリンには雑菌等の繁殖を防ぐ防腐剤が配合されていないことがほとんどです。余計な添加物が入っていない=口に入っても無害で安心なのですが、不衛生な状態で保管すると菌が繁殖してしまいます。
使用時は手を洗って清潔な状態で触れるようにし、キャップをしっかり締めて冷暗所に保管します。唇だけでなく顔など、乾燥しているところにどこでも使えるのでワセリンは常備しておくと便利です。
ワセリンでも治らないときは皮膚科を受診
市販のワセリンを使用しても治らないときは、重症化や他の病気の可能性も心配なので皮膚科を受診してください。口唇ヘルペスなどの可能性も視野に、皮膚科医が診断して適切な処置をしてくれます。
唇の乾燥がひどくバリア機能が完全に失われてしまっているときは、軽いステロイド剤を処方してもらえます。ステロイドを顔に使用することに抵抗がある人も多いのですが、短期間使用する分には即効性があり問題ないとされています。
むしろ、長期間肌を乾燥させたり赤み、かゆみが残る状態にしておくことによる弊害の方が大きいのです。ステロイド剤は薬局でも購入できますが、口唇ヘルペスの場合にステロイドを使ってしまうと悪化させてしまう恐れがあるので、まず皮膚科医の診察を受けるほうがよいでしょう
きれいな唇を保つためにできること
意外と知らないリップクリームの正しい使い方
唇の乾燥が気になるからと、さっき塗ったばかりなのにもう塗ったりしていませんか?本当に乾燥しているときなら使用回数を減らす必要はないのですが、「塗らないと乾燥している気がする」と思い込んで必要以上にリップクリームを使用している人もいます。1日3回までの使用に留めたほうがいいという説もありますが、食事をしたり入浴、洗顔をすると取れてしまいますので必要に応じて使用する分には構いません。
食事もしておらず使用後30分しか経っていないのに重ねてリップを塗るという行為を続けていると、習慣化してますます回数が増えてしまいます。また、リップを付ける行為自体が唇には刺激でもあるのです。摩擦を繰り返すと唇の老化が進みますので、リップを付けるときは縦方向に、やさしくつけるようにしましょう。
また、紫外線カット用のリップクリームは通常のものより刺激が強いので、日中紫外線が気になる時間帯のみの使用に留めましょう。
口紅よりも刺激が強いグロスはなるべく避ける
化粧品トラブルで唇が荒れてしまっている人は、グロスの使用を避けるだけでも症状はずいぶん改善します。口紅をつけないで出勤するわけにはいかない人も多いので、せめてグロスは控えるようにしましょう。
仕事のマナーとして、口紅は付けるべきでもグロスはNGというのが常識でもあります。グロスは唇に密着し、成分には刺激の強いものも多いので、使用した後は唇に残らないようクレンジングも怠らないようにします。
確かにグロスをつけると、唇がつやつやしてキレイに見えるのですが、唇には負担なのです。お手入れに力を入れて、唇の素材そのものを磨きましょう。
ピンク色の健康な唇をつくるビタミン
ビタミンB2欠乏症の主要な症状の1つが口角炎です。唇が切れやすい人は、抗皮膚炎作用と成長作用のあるビタミンB2が含まれる食品を積極的に摂りましょう。身体は食を通してつくられるので、体質改善に大いに役立ちます。牛乳、卵、納豆、肉(特にレバー)を毎日の食事に取り入れましょう。
きれいな肌をつくるには、ビタミンCが不可欠です。体内ではつくることができないので、毎日摂取する必要があります。新鮮なくだもの、野菜、緑茶に多く含まれます。ビタミンCが不足すると、切れた唇の出血が止まらないという症状にもつながります。女性の美容に欠かせないビタミンは、チョコラBBといったサプリメントでも手軽に補給することができます。