あるとき突然にこれまでまったくなかった皮膚のかゆみ、とりわけ手足やお腹まわりに猛烈なかゆみを感じて、長い間不快感に悩まされる人もいるかと思います。

皮膚のかゆみと一口で言っても、肝臓や腎臓などの内臓疾患の一症状として起きる深刻なケースもあります。皮膚の炎症やアレルギーが、かゆみを引き起こすこともあります。

その一方、なんの病変もないけれど、ただ皮膚が猛烈にかゆくてたまらなくなるという、いわば「かゆみそのものが主症状」のときもあって、かゆみの発生原因は実に様々です。

したがって皮膚科では、通常はまず皮膚の状態を観察し、「そのかゆみの原因が何なのか」を特定することが、最初に行われます。

原因に応じて、そのかゆみに対する治療方法も変わってくるからです。

一般に皮膚のかゆみは、寒さが強まるほどひどくなる傾向があります。

寒さによって血流が悪くなると、皮膚の表面で水分を保っている「角層」内の水分が減少して、すき間が生じます。

すると、それらのすき間から入ってくる異物による刺激を警戒し、知覚神経が皮膚の表面まで伸びてきます。これによって、知覚神経がいつもより外部の刺激に敏感に反応する状態になり、かゆみをより強く感じるようになるのです。

腕やすねの内側などをつい長い時間かきむしってしまい、肌が真っ赤になったり皮がむけたり…といった経験は、誰にもあるところではないでしょうか。

このように何の病変も伴わず、単純に皮膚がかゆくなる状態は「皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)」と呼ばれ、一般に40~50代以降の中高年・高齢者、しかも男性により多い症状とされています。これは加齢によって皮脂の分泌が少なくなり、皮膚の乾燥が進んでくることによるものです。

中高年の男性は、一般に女性に比べて肌に無頓着な傾向がありますから、もともと肌荒れもしやすい状態になっていて皮膚の乾きに拍車がかかるという面もあるでしょう。